ウォーキングと美味しいもの

歩いた街や見つけた美味しいもののメモなど

好きな仕事が本になる



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3年半前の神楽坂
 

suumo.jp

この記事を書いたことがきっかけで、「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーに2016年の5月に入り、SUUMOタウンの運営、編集担当になって3年半。

入った直後は毎月1本の記事を公開。それから自分が好きで、ぜひ書いてほしいと思った人にダメ元で連絡をしていって、少しずついろんな街の記事を公開できるようになっていった。有難いことに次第に書いてくれた人が、「知り合いに書いてほしい」と紹介してくれたり、「書きたい」という連絡をいただけるようになったり、劇団雌猫さん、Huuuuさん、ツドイさんらSUUMOタウンでやりたいことに共感してくれて、協力したいと言ってくれるチームも増えていった。

社内での編集担当は基本1人だから、これまで公開した200以上の記事は全て細かく覚えている。記事に対するいい反応を見るたびに自分のことのように嬉しかった。「SUUMOタウンいいよね」と聞くたびに、やっていてよかったと感じた。SUUMOタウンを読んでニューヨークへ飛んだという人の記事を読んで感激した。

uimn.hateblo.jp

今でもときどき読む記事
 

Manjo Shimahara on Twitter: "SUUMOタウンは共感できる記事が多い。 (中略) いい書き手を揃えてるなぁ。敵ながら天晴。

「敵ながら天晴」と、HOME'S島原さんにも言っていただいた
  

書き手の方から「書けてよかった」とか、「書いたことで新しい仕事につながった」と嬉しそうに連絡もらうことも時々あり、紹介した街の人から「ありがとう」と突然会社にチョコが送られてきたこともあったりして、関わってくれた人に何かいいことが起きている気配を感じながら、毎日楽しく仕事ができていた。

それだけでも幸せなのに、2018年の11月30日、新宿三丁目ぼんやという居酒屋で初めて会ったポプラ社の天野さん(素晴らしい書籍編集者。尊敬している)から「書籍化しましょう」と声がけいただいた。驚いたけれど、自分がやってきたことが「やっぱりやってきてよかったことなんだ」と改めて思えて、しみじみ嬉しかったのを覚えている。

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2018年11月30日。楽しかった新宿三丁目の夜
 

天野さんと、編集協力に入っていただいた岡本さん(編集者、書き手としての引き出しが多い。行動早い。そして面白い)と3人で数えきれないくらいメッセンジャーでやりとりし(仕事以外の話で盛り上がることも多かった)、ある程度形になってから社内の色んな人に説明、相談して、たくさんの人に協力してもらいながら、ようやく今日、本になることを発表できた。

blog.hatenablog.com

blog.hatena.ne.jp

書籍発売に合わせてキャンペーンも実施できた
 

オカユ on Twitter: "SUUMOタウンのテキスト面白いのでまとまって単行本にならないかな

藤村 on Twitter: "SUUMOタウンはいつか本にしてほしい"

「SUUMOタウン、本にならないかな」という声に応えられた
 

当たり前だけれど書き手の方によって文章の上手さは違う。でもSUUMOタウンでは「上手に、綺麗に」書いてもらうよりも、「その人が感じたこと、思ったこと」をその人らしく書いてもらえたらそれが一番、と思ってやってきた。だから、これまで公開してきたその人の思いが感じられる文章は全て最高だと自分は思っていて、全部紹介したいくらい。だけれどそれは無理なので、今回の書籍では「東京」をテーマに、書籍との相性を考えて選んだ既存の記事10本と、書き下ろし記事10本を収録することになった。

 

【エッセイ】(敬称略)

雨宮まみ『都会と下町、まるで違う二つの顔を持つ街「西新宿」』

・岡田育『昼はコドモ、夜はオトナのものとなる「四谷」――飲んで飲まれて歩いて帰れる街で暮らした日々』

・ひらりさ『「実家脱出ゲーム」を成功させるために――三十歳おひとりさまライターが語る「東新宿」』

枝優花『「高田馬場」ゴミロータリーで過ごしたかけがえのない時間』

九龍ジョー『社員(シャイン)オンユー東中野

・夏目知幸『先行きなくともただひたすら楽しかった 東高円寺でのその日暮らし』

・カツセマサヒコ『何者にもなれない僕が「荻窪」にいた』・

美村里江『世田谷代田の秘密基地――「役者の色」に染め直してくれた夕日と住宅街の景色』

山田ルイ53世一発屋であることを呑み込んだ「中目黒」』

・ヨッピー『渋谷のヤクザマンションの話――僕が繁華街に住むことをおすすめする理由』

山内マリコ『吉祥寺で過ごした二十代は悲惨だった』

・もぐもぐ『自由とカオスと町田』

・pato『僕には八王子という“距離”が必要だ』

・小野寺史宜『ノー銀座、ノーライフ――この街に住むことをあきらめない』

・pha『東京に住んでいるのは嘘なんじゃないかって今でもときどき思ってしまう』

 

【上京物語】(敬称略)

みうらじゅん『東京で暮らすなら、いつも心に「不真面目」を』

東村アキコ『家賃を稼がなくちゃいけないから、ここまで描いてこられた』

鈴木敏夫ジブリの秘密は“4階”にあった――「時間と空間」をめぐる五十年』

加藤一二三『タイトル未定』

赤江珠緒『タイトル未定』

 

書籍のまえがきに、

『完成した原稿を読んでみたら、もう、思わず、「いい本だ!」と思ってしまったくらいに自信作』

と書いたくらいに、ゲラを読んだ瞬間いい本だと本気で思った。既にWeb上で公開されている記事も縦書きの書籍のフォーマットで見ると印象違って、新鮮。書籍化に伴って記事を修正、追記してくれた方もいる。

書籍は、この記事が無かったら今のSUUMOタウンはないだろう、雨宮まみさんの『都会と下町、まるで違う二つの顔を持つ街「西新宿」』から始まる。そのあと続く記事は既存のものはもちろん、書籍書き下ろしのものも全ていい。特に文章も人柄も大好きでファンの小説家、小野寺史宜さんの『ノー銀座、ノーライフ――この街に住むことをあきらめない』が個人的に堪らない。

エッセイの最後は、phaさんの書き下ろし『東京に住んでいるのは嘘なんじゃないかって今でもときどき思ってしまう』。『京都には世界の全てがあった』は、今回は東京編だから載せられない。でも、phaさんに書いてほしい。そうだ、phaさんに『東京』をテーマに書いてもらえないか、とギリギリ思いついて相談したら快諾いただけた。エッセイの締めに相応しい名文だ。

インタビュー企画の「上京物語」では、書き下ろしで加藤一二三さん、赤江珠緒さんに登場していただいた。豪華。とてもいい話で、これから上京する人の参考にもなると思う。

表紙の可愛いイラストは、たなかみさきさんによるもの。年末の忙しいところタイトなスケジュールなのに受けていただいた。有難い。

とかとか、もう好きなところどんどん言えるくらい、いい本。街の話が好きな人、これからどこに住もうか考えている人にぜひ読んでほしい。

 

わたしの好きな街: 独断と偏愛の東京

わたしの好きな街: 独断と偏愛の東京

 
12月11日発売(予約受付中)
 

自分が好きな(相性がいい)街に住むと、毎日が充実するはず。いろんな街を紹介することで「街との出会い」や「住む街について考えるきっかけ」をつくれたらと思いながら運営しているSUUMOタウン。書籍発売後も、今まで通り、長く自然に続けられたらな、と思う。 

最後に今までSUUMOタウンで執筆いただいた、登場してくれた数多くの皆さん、日々協力してくれている社内外の皆さん、SNSで感想言ってくれた皆さん、改めてありがとうございます。あと、はてなの皆さん。はてなでブログを書いていたからこそ最初の神楽坂の記事の執筆依頼があり、あの記事を書いたから今の自分があって、ついにはこんなすてきな本を出せることになった、と考えるとはてなさまさまだ。はてなでブログを始めて本当に良かった。

hatenablog.com

ということで今日はめでたいので、好きな神楽坂へ行って美味しいもの食べて、飲むぞーー。